白いインクとの葛藤

こんにちは。久しぶりにブログを投稿です。もはや、シルクスクリーンの備忘録というか、実験過程の記録簿みたいになっていますが、今日は「白いインク」の話です。

まずその前に、日本人とメヒコ人の気質の話を。

日本人は往々にして「ノーと言えない」国民として知られていますが、私の感覚ではメヒコ人は「ノーと言わない」という印象を抱きます。結局どちらも「イエス」なのですが、がその内容は大きく異なります。

「明日までにこれを10個できますか?」
「明日までに領収書を用意しておいてもらえますか?」

時間に猶予のあるものを頼むとき、帰ってくる答えはだいたいが「イエス」なのですが、いざその約束の日になると「途中までできてるよー」とか「今するところなんだよー」とか、つまり、「できてないのだな」ということになります。

メキシコ人に対してはできないのならできないとはっきり言ってくれた方がいいのにな、と思う時がありますし、もし日本で同じ状況があったとすれば、「いついつならできます」という返事をもらえるのだろうな、と比較してしまいます。反対に日本人がノーと言えないのは、できるからでもなく、できる見込みがあるからでもなく、他に選択肢がないからイエスと言わざるを得ないという印象を抱きます。

何れにしても、メヒコ人は「ノー」と言いません。ハッタリ野郎ばかりです。でも、ある意味では自分を追い込んでいて、やるしかない状況を作り出していて、なんか、メヒコ人、めっちゃストイックやん!な感じもするのですが、期日に間に合わなかったとて、「いやー、めっちゃやったんだけどねー、ここまでできてるんだよー」という言い訳という武器を最後にしれっと出してくるので、ストイックというのとはまた違うのです。

そんなメヒコに暮らしていることと、もともと関西の人間なのであまり小さいことは気にしないので、自分が何かものを頼む場合は期日は守らないからプラス何日かは見ておいた方がいいな、という考えができるようになりました。逆に自分が頼まれごとをした時は、「そうやな、まぁ、できると思う」的な発言をしてしまうことが増えてきました。

Tシャツの印刷が家でできるようになったとは言え、黒いインクばかりでの印刷を承ってきました。友達にある日、

「黒字のシャツに白い印刷がいいねんけど」

と言われて、「あーー、そうやな。できると思う」答えてしまったのです。白いインクを買えばいいだけだと軽く考えていたのですが、いざインクを買ってプリントの実験を開始するとうまく印刷ができないのです。

デザインもni modoよりも広域で細かいデザインのあるものだったからなのか、何度やってもうまくいきませんでした。しかも、インクもなんだか黒と比べて硬いのです。どうしたものか……。きっと、刷り方が悪いのだと思い、闇雲に練習を重ねるのですが一向に改善される気配はありません。しかし、もう「できる」と言ってしまった手前、どうにかしなければなりません。

こうなったらお手上げなので、友達のところに助言を乞いにいきました。すぐに誰か聞く相手がいるというのがオアハカの本当にすごいところです。シルクスクリーンをできる人がなんでこんなにもゴロゴロいるんだ……。日本では、「シルクスクリーンやったことあるよ」程度の人すらほとんど出会ったことがなかったというのに……。

教えを乞いに行った友人は、かつてシルクスクリーンの店で働いていたというプロです。白いインクの話をすると、黒いインクよりも硬いから特別な液を少しといてインクを柔らかくしてやる必要があるかもしれない、ということでした。とりあえず、インクを持ってまたおいで、ということになったので、後日シルクも見てもらおうと思いフルセットを携えていきました。

彼が思っていたほどの固さではなかったですが、使う前によく混ぜる(練る)必要があるということも新たに教えてもらいました。そして、濃い色のシャツに印刷する場合は、一度インクを乗せてから乾かして、再びインクを乗せるとはっきりとした色で印刷できるのだそうです。

言われてみれば「その通りだ」と思うようなことばかりなのですが、すべてが理にかなっているのでなるほどと思うことばかりです。何かを教えてもらうとき、「やりたいっ!わかった!やってみたい!」と思いがちなのですが、無駄のない手さばきで行程をこなしていく様子は思わず見入ってしまいます。あるいは、家にもマテリアルがあるという事実が、「家に帰ったら試してみよう。だから今はじっと見ておこう」という気持ちにさせてくれるのかもしれません。

img_8399

そして、また後日再び訪れた時には太陽で感光する方法を教えてもらいました。以前何十回と挑戦して、未だ成功したことがなかった太陽での感光です。曇り空の下での作業だったので、感光時間は約6分。以前教えてくれた画材屋さんのおっちゃんが20〜30秒と言っていたのはやはり嘘だったのか?!秒ってことないよなぁ、と思いながらそのエピソードを友達にすると、「いや、晴れてたらほんとに20〜30秒でいい」と話していました。天候のコンディションでどれくらいの時間感光させればいいのかを知るのはもはや、経験の賜物と呼ぶしかありません。職人技だ、と思いながらぼやーっと見学させてもらいました。

この技術は本当に会得したいです。そしていつか、旅をしながらシルクスクリーンができたら楽しいだろうな、と思います。旅先でTシャツを作ったら愉快だろうな、と想像してにやけています。

白いインクがもしも黒いインクと同じようにスムーズに印刷できていたら、これらの発見や学びはなかったのだろうと思うと、白インクの妙な意地悪な固さに感謝です。

そして何より、教えてくれた友達に感謝!

 

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Google photo

You are commenting using your Google account. Log Out /  Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s

Create a website or blog at WordPress.com

Up ↑

%d bloggers like this: