24秒

ここのところ、夕方になると雨が降るようになったオアハカ。もう雨期に入ったのでしょうか。最近風邪をぶり返していまひとつ体調が万全ではなくて家に引きこもってばかりなのでその辺のこともよくわかっていません。いずれにしても、一気にふり出す雨の音を部屋の中で聞くのはなんとも言えない甘美な時間だと思います。人とあまり会っていない今日この頃ですが、今日家に向かって歩いていると友だちに道で会いました。立ち話をしていたのですが、

「時間あるならお茶していこうよ」

と突然のカフェタイムをすることになりました。その時に「雨いいよな」という話になって、そういう感覚を共有できるのっていいなと思いました。

日本から帰ってきてからありがたいことに友だちからシルクスクリーンの印刷物を頼まれました。何事もそうなのですが、つくづく感じるのは印刷はうまくなるためにはとにかく数をこなしてなんぼだ、ということです。

製版もそうです。天気がいいオアハカでは、私はもっぱら製版は太陽光を使ってしています。これは本当に本当にうれしいことです。なぜなら、この太陽光での製版とどれくらい格闘し続けたかわかりません。これがなかなか成功せず、本当に「なんでや?!」の連続でした。夜練習することが多かったので、箱と蛍光灯を使って製版する機会が増え、それは自分の箱と感光時間がだんだんわかるようになってきてうまくできるようになりました。そして今、昼間に製販をすることが増えたので太陽での製版の機会が増えました。

きれいに晴れた日(ほぼそのコンディションのオアハカ。)には太陽に向かって24秒数えます。

入念に乳剤を塗ったり乾かしたりして版を用意しますが、感光はたったの24秒。失敗したら乳剤を洗い流して、乾かして、また乳剤を塗って、乾かして、とやり直しです。

太陽に向かって足でカウントをとりながら数えて、そのあとはすぐに水をかけます。うまく感光できた時はほとんど霧吹きを使わずにデザインが抜け落ちます。これは本当に気持ちのいい瞬間です。

この24秒にたどり着くまでに本当に苦労しました。シルクスクリーンをするという人に出会うたびに、その人はどうやってしてるのかをたずねまくりました。全く成功せずに版を洗ってばかりだった日々。でもいろいろな人のアドバイスを少しずつ取り入れて、私なりの感光の技はだんだんと上達していきました。この間、曇っていたので久しぶりに箱で感光したら私の持っている箱でするには範囲が大きすぎたので広範囲のデザインはうまく感光できなくて、翌日太陽でやり直しをしました。

足で地面をとんとんとしながら時間を計って、水をかけたらきれいにデザインが抜けました。シルクスクリーンの工程の中で一番需要で、そして一番難しいのが製版だと思います。だからずっと苦手にしてきました。でも、はじめからうまくできないこと、むしろ苦手にしていることの方がさじを投げずにしつこく挑んだら上手になるような気がします。イラストレーターの勉強をしていた時もそうでした。トレースを苦手にしていたのですが、うううと、練習を続けた結果、今やメヒコTシャツを支える大事な技です。

別に義務ではないこと、つまり、しなくてもいいことにどうしても挑みたくなるときがあります。謎の情熱、とでもいうのでしょうか。私の場合は、たぶん印刷をするための工程にあるあれこれなのだと思います。

だから今は24秒を数えるときがすごく好きです。

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